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主にONE PIECE(ルナミ)の小説を書いています。不定期更新ですので、いつ更新されるかわかりません・・;
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―――――・・あいつが気付くわけないじゃない


     でも・・・


     それでも、あんたに少し期待してしまうのよ




「はぁ・・・・」



海を眺めながら小さくため息をついたのは、この麦わら海賊団の航海士ナミだ。


「気持ちいい風。天気もいいし、みかんの世話でもし・・・」



みかん畑に向かおうとした拍子に足が絡まって、体勢を崩してしまった。


「ぅあっ・・・」


「・・っと」


倒れるかと思ったが、誰かにぐいっと腕を引っ張られたおかげで体勢を整えなおすことが出来た。


「あぶなっかしーやつだな。お前」


「ル・・・ルフィ・・」


ナミの手を引いたのは、そう。この船の船長ルフィだった。


「こ・・こんなとこで何してるのよ」


ルフィに摑まれていた手を急いで振り払ったナミは、転びそうになったのをルフィに見られたのが恥ずかしかったのか、顔が少し赤くなっていた。


「何って・・・サンジがみんな呼んで来いって言うから呼びに」


「サンジくんが?」


「あぁ・・・。飯だってよ」


「変ね。まだそんな時間じゃないのに」


太陽がほんのり橙色になりはじめるには早すぎる。
ナミが何かあったんじゃないかと考えをめぐりにめぐらす。


「ほら、ナミ早く。」


「え・・・」


ルフィがナミに手を差しのべている。
その行為にナミは一瞬思考回路が止まった。

彼はご飯となれば我先にといわんばかりにキッチンに向かうはずなのに、
ナミに手を差しのべているのはどう考えてもおかしい。
目の錯覚かと思い、ナミは自分の目を何度もこすってみたが錯覚などではない。


「飯、冷めちまうぞ」


「この手は・・何?」


ナミは自分に差しのべられているルフィの手を指差した。
鼓動が早い。


「何って、おれの手」


「そうじゃなくって・・・」



「ナミ」


ん、とナミの近くまで手を差しのべる。
普段とは違う真剣な眼でナミを見つめている。

言葉が出なかった。
彼に真剣な目で見つめられると考えることもできなくなる。
ナミの頭は今にもパンクしそうで、ルフィの顔など見るなんてとんでもない。


「・・・・・」


ナミはゆっくりと、差し出されたルフィの手の上に自分の手を重ねた。
それを確認したルフィは重ねられた手を優しく握る。


「今日の飯は何かな~♪」


しっしっしっ、と笑いながらいつもと変わらず、しかしナミのコトを思ってか、ゆっくりと歩いていた。
ナミはルフィと手を繋いでいるという事実が信じられず、心臓がバクバクと脈打っていてる。明らかにその動きはいつも以上に早い。


「ねぇ、待って」


ナミは歩くのを止め、立ち止まった。
ルフィもつられて立ち止まる。


「どうしたナミ?」


「ルフィに・・・話があるの」


カモメの鳴き声と、波の音だけがただ静かに響いた
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